AmazonのJeff Bezosとノーベル文学賞「日の名残り」
ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏の作品の映画「日の名残り」を観る。
この作品に興味を持ったのはノーベル賞がきっかけなのではなく、AmazonのJeff Bezosがお気に入りの本だと言っているからである。
内容は、第二次大戦前後のイギリス。その中で名門家の主人に使える執事スティーブンスの回想録である。
大戦前の大戦後のイギリスの名門家の盛衰、個人としての若かりし時と老年を迎えた今、自分が正しいと思ってやってきたこと、そしてその結果今になって当時を振り返る気持ち。これらが交錯して人生の振り返りとなっている。
人生の味わいを振り返り、後悔し、自己肯定する老年期の男の哀愁の話なのであるが、鑑賞後なぜJeff Bezosがこの話がお気に入りなのだろうか、不思議に思った。
彼のような、人生を思い通りに動かし、未だ見果てぬ夢を追求する成功者と、日の名残りの主人公のスティーブンスは対極にあるからだ。
Bezosの伝記で、「日の名残り」について、こう語られている。
「For Bezos, that theme apparently struck a chord, inspiring him to develop what he calls 「the regret-minimization framework,」 or a way of living his life that reduces the number of regrets he has, according to the biography」
彼のような成功者で数々の挑戦をしてきた人間でも、沢山の後悔や自責の念があり、それを怖れ、如何に少なくするかを考えている。
後悔とは縁遠い人間に見えるが、逆にJeff Bezosは、それくらい真剣に人生の1日1日を生きているから、後から振り返って後悔する人生を怖れるのだろう。外から見ると、彼の挑戦は止まらなく、益々大きくなってきているように見える。
日の名残りのスティーブンスとAmazonのJeff Bezos。対極にある、この2人を勝手に想像し、改めて僕自身、自分の人生を真剣に生きないといけないと、そんなことを思う休日。