自分 の生き方を形作る本、7冊

Masahiko Homma
7 min readMay 7, 2020

コロナでのStay Homeが世界的に続く中、推薦図書を列挙しあうキャンペーンが盛んになっている。同僚からキャンペーンが回ってきたので、自分も改めて、自分の好きな、自分の人生を形作っていると思われる本を7冊挙げてみる。コロナで厳しい今こそ、考える指針が大事でないかと思っています。

*後世への最大遺物

人生 、どう生きたいのか、的な問い。自分にとっては、なぜ起業家やベンチャーキャピタリストとして生きたいのかを、考えさせてくれる本。遺すというのは、お金なのか、事業なのか、人の生き様なのか。内村鑑三は宗教家ですが、100年以上前のアメリカの 起業家や事業家への言及が多くて面白い。また名も知らぬ事業者の話も。起業家・経営者にとっても、どんな会社を作っていきたいのか、の示唆となる。彼の「代表的日本人」も大学時代から何回も読み返している本。

*The venturesome Economy

Venturesome economyという言葉は、供給者側である、製品やサービスの作り手ではなく、需要者側のユーザ(企業も含む)や消費者が、アーリーアダプターとなり、双方が実験的・冒険的なリスクをとることによって、イノベーションが生まれていく、という考え方。革新が生まれ続ける社会とは、両者がうまく回転して初めて生まれる、というコンセプトは、どこに日本のどこに産業が生まれやすいのか、日本のベンチャーエコシステムを考える上で、自分の指針ととなっています。日本はコンシューマイノベーションに関してはVenturesomeだと思うが、ビジネスイノベーションにおいては、そうではない部分も大きい(ここが良くなれば本当に日本は強くなるでしょう)

*Creative Capital

VCの父のGeorges Doriotの伝記。ベンチャーキャピタリストを目指す人は必読の書と言ってもいいでしょう。第二次世界大戦後、ハーバード大学の教授が、世界で初めてのベンチャーキャピタル、American Research and Development社を作る。今活躍するSequoia Capial等のVC ファームやVCファンドの仕組みは、彼の成功と失敗の経験を元に作られていることがわかります。彼は欧州を代表するビジネススクールINSEADの創業者でもあります。ベンチャーキャピタリストの祖は、単なるファンドマネージャーではなく、起業家でもあり、大学教授でもあり、 ビジネススクールの創始者でもあった。こんな人になりたいですね。

*天平の甍

コロナの苦境の中でこそ、報われるかわからない努力と信念を貫く、ということを教えられる本。とかく、リスクリターン、コストメリットが当たり前の世の中でなのですが、遣唐使の時代、報われるかわからない努力と信念に対して、ここまでリスクをとって挑戦した日本人・中国人が1000年以上前の世界にはいた、という話。中国の名僧の鑑真だけではなく、日本の僧侶達が、文字通り命をかけて、本物の仏教を日本に持ち帰り、人生をかけて真理を追求しようとする。1回漂流すると何年も元の場所に戻れない。全く成功は保証されていない。それでも自分の中の哲学と考えを持ち、日本に本場の仏教を持ち込もうとする信念が1000年以上の時を超えて、ビビッドに伝わる。自分自身、ベンチャーキャピタルという事業を、そこまで信念と努力を持って取り組めているのか、考えさせられる。

*フランクリン自伝

イーロンマスクも尊敬する人物として挙げる、アメリカの政治家、科学者、事業家。とにかく、人生快活に生きる、生まれてきた機会と時間をフルに生かし、実践的に生きるとはどういうことかを、教えられる。一生一度だと思うと、人間かくありたい、と強く憧れる。思うに当時の新聞・印刷業は、そのメディアとしての力、自由に発信する媒体を複数作れる、という点において、現代のSNSやインターネット事業のようなものではなかったのだろうと推測します。フランクリンは、事業家として常に新聞・印刷技術を使いながら、そのメディア事業で培った、発信力を起点に、科学研究の推進、政治活動、そして社会改革にしかけ、大きな結果を残した人に見えます。

*ゲーテとの対話

晩年のゲーテが人生や仕事について、交友について、弟子のエッカーマンに語った対話。人間を学ぶ格言に溢れる本。演劇や舞台演出家は、人間観察に本当に優れている人がいるんだと感嘆します。私は特に、成果を出すためには、こう考える方がいいよ、といった部分からの学びが多かったです。対話形式が良いのか、人間というものがどんなものか、ゲーテの観察眼で語られる言葉が面白い。実際に直接話を聞いているような気分になる。全く門外漢ですが、もしVCを引退するならば、演劇についてもっと勉強したいと思っている。

*宇宙に命はあるのか

200年前に生まれたジュールベルヌが、妄想し空想した世界、彼のイマジネーションが、何世代も受け継がれて、”ロケット、月軌道ランデブー、アポロ誘導コンピュータを現実のものにした”。初めに言葉ありき、ではないですが、初めに人間のイマジネーションありき。そして、一方で、”経済的・政治的なよくや野望や功名心は、短期的には大きな力を持っているが、所詮は個人に帰属するものでしか無い。人はやがて死ぬ。死ねばその人の欲も野望も巧妙もこの宇宙から消えてなくなる。そして人のたった八十年の一生とは、宇宙の時間からすれば流れ星のように儚い一瞬の閃きでしかない”

起業家や投資家として、大きな会社や事業を作り出す支援をしたい、大きなリターンを出さなくてはいけない、と毎日考え、悩む日々ですが、宇宙から見れば一瞬の出来事。それでも、全てはイマジネーションから何かが生まれる。

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Masahiko Homma

Founder and General Partner of Incubate Fund インキュベイトファンド 代表パートナー www.incubatefund.com 過去ブログは→ https://corepeople.typepad.jp/